那須大亮さん、梅崎司さん……移籍に思うこと。遠藤航「世界への大航海」
浦和・遠藤航連載第25回
■那須大亮さんに助けられた記憶
正直びっくりしたのは、那須大亮さんの移籍でした。てっきり今シーズンも一緒にプレーするものだと思っていました。那須さんには本当に多くのことを学びました。以前にも書きました(「ポジション争いのライバルは、最大のお手本。那須大亮さんが見せる姿勢」)が、練習における姿勢はいつも「こうでありたい」と思わされるものでした。
振り返って助けてもらったな、と思うのは2016年のリオ五輪あとのことです。サッカー人生における大きな目標であった五輪でグループリーグを突破することができなかった失意と初の移籍や、アジア予選からほとんど休みのない日程による疲れで僕は、心身ともに負荷を感じていました。これは想像した以上のもので、ピッチでのパフォーマンスも上がらない(「テグさんが涙を流した後……」遠藤航、リオ五輪からの再スタートとシンプルな答え)。
ミシャ監督からは「今のままじゃ使えない」と明言されたこともありました。そんな状態のとき、ライバルである那須さんが試合に出ているのを見てとても奮い立たせられたのです。安定したパフォーマンスとチームを勝利に導くプレー。言い方はおこがましいのですが「安心して観ている」自分に、これではダメだ、競争に勝っていかなければいけないと鞭を打ってくれたような感覚でした。誰だって年齢を重ねていくわけですが、那須さんの姿勢こそが将来、僕が目指すべきものであると思っています。